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行政視察 飯豊町のまちづくりと道の駅「いいで」

Updated: Nov 21, 2020

こんにちは 増田ひとし通信です。平成30年11月7日(水)に視察地した山形県飯豊(いいで)町の国道113号線沿いにある「道の駅いいで」とその防災拠点化の概要について掲載する。



Ⅰ.飯豊町のまちづくりの特徴

 飯豊町は東は米沢市及び川西町、南は福島県喜多方市、北は長井市に隣接した南北に細長い、面積329.6㎢を有する町。人口は7,249人で、主な産業は米作と肉牛生産である。

 1.まちづくりの基本である「総合計画」は、昭和48年の最初の計画を地域住民代表120名の参

 加を頂き、町の将来像を描き策定した。住民参加の計画づくり、「手作りのまち飯豊」とし、本手法

 が全国から注目を集めた。

 2.現在の第4総合計画にも生かされて、町の将来像を「田園の息吹が暮らしを豊かにするまち」と

 掲げ、農林業を基礎に、豊かな農山村社会創りを進めている。

 3.「音楽のまちづくり」も特色の1つとして進めている。町制50周年を記念して合唱組曲「飯豊山

 ~わが心のアルカディア~」を制作。明治初期に飯豊を訪れたイギリスの旅行家イザベラ・バード

 に「東洋のアルカディア」と言われたことに由来し、田園散居集落などが詠われている。

 4.農村の自然、景観、産業、くらしの良さに気づき、町民が自信と誇りを持つために、都市との交

 流等新たな取り組みを行っている。

 5.「日本で最も美しい村」連合に加盟。自然界と都市との共生で農村の機能を再認識し、連携を

 深めている。

 6.山形大学、山形銀行の協力を得てリチウムイオン電池の研究所開設。バッテリーのベンチャー

 工場を建設予定。将来の電気自動向けの9兆円市場を狙って先行して産業振興に取り組んでい

 る。

 7.昭和60年の人口が約1万6千人、現在約7千人急速に人口減少が進行。


Ⅱ.道の駅いいで・めざみの里観光物産館

1.道の駅設置の経緯

・昭和63年度 「飯豊町新総合計画」で「町土基盤の整備」、広域幹線道路策定、国道113号線の

 バイパス化で、沿道の魅力づくりが課題としてあがる。最上川の源流白川と、美味しい米の産地、

 自然と共生する特徴を町の魅力づくりに生かす案が浮上した。

・平成元年  「観光・レクリエーション計画」に、観光物産館整備のための調査を計画化。

・平成4年  「産業物産館」と「道の駅」を合体させ、「道の駅」整備計画決定。場所も見晴らしの良

 い現在地を候補地とした。

・平成6年度 「道の駅及び観光物産館建設検討プロジェクト」編成。

 -メンバーは課長、課長補佐、係長、担当者計14名で構成。

 -建設事業、経営計画、土地利用計画等を検討。

 -用地取得 6,915㎡ 議会承認 第3セクター出資金25,500千円 議会承認。

 -第3セクター 設立発起人会準備事務局会設立。

 -第3セクター設立発起人会設立(飯豊町、飯豊町商工会、長井中央青果株式会社)

・平成7年  めざみの里観光物産館新築起工式 (フランス語の私の友達を意味するメザミを語源

 とし、一緒にまちづくりを目指しましょうの意味が込められているとのこと)

 -第3セクター設立総会 

・社名;飯豊めざみの里株式会社 

 -資本金 5千万円 ・代表取締役社長 飯豊町長 

 -代表取締役専務 長井中央青果(株)表取締役社長

 -株主及び出資比率 飯豊町 51% 長井中央青果(株) 25% 飯豊商工会 6%

         他6団体(山形交通、銀行、JA、県など)18%

・平成8年 道の駅登録証交付

・平成9年 道の駅いいで・めざみの里観光物産館オープン

2.敷地面積道の駅いいで 6,780㎡、めざみの里観光物産館 17,722㎡ 合計 24,502㎡

3.運営方式   第3セクター方式(指定管理者制度による5ヶ年指定)

4.社員数(常勤) 44名(期間雇用含む)

5.年間売上高  約647,000千円(平成29年度)

6.総投資額   13億円 財源 過疎債 償還25年 70%地方交付税 

         売り上げの2%を町へリベートとして支払い。

         今のところ配当の実施はしていない。

7.年間来客数  810,000人、レジ通過者数は470,000人   

8.道の駅の基本的機能と特徴

 ・休憩機能   24時間、無料で利用できる駐車場・トイレ

         ⇒単なる休憩の場所ではなく、目的地化をめざす。

          「真夏の雪まつり」など、独自のイベントを開催

 ・情報発信機能 道路情報、地域の観光情報などを提供

         ⇒大型モニターで、周辺道路情報・天気・観光情報提供

 ・地域連携機能 魅力ある地域づくりを、町や関係機関と一緒に行う。

         ⇒特産品の販売(ワイン、まんじゅう、ケーキなど) 

          町内幼稚園児対象に、所有の農園で「里いも掘り体験」実施。

          介護施設等の入所者が車いすのまま利用できるよう改装。

9.道の駅の防災拠点化について

平成23年3月11日の東日本大震災を契機に防災拠点機能が求められる。

 ・仙台⇔新潟  双方向の救援物資輸送の中継点として機能

         H16年 新潟中越地震、 H23年 東日本大震災

 ・国道113号線 吹雪による通行止めに伴う一時避難所 

        東北地方整備局より感謝状 ⇒ 飯豊町から避難所指定を受ける。

 ・太陽光発電を整備(災害時の非常用電源用)。電気自動車用急速充電器設置。

 ・駐車場をドクターヘリの発着所として提供。

まとめ

1.人口わずか7000人の町だが、将来を見据え産官学共同で有望な産業分への振興に着々と手を打っている。山形大学、山形銀行の協力を得てリチウムイオン電池の研究所開設、バッテリーのベンチャー工場を建設を予定するなど、将来の電気自動向けの9兆円市場を狙って先行して、産官学共同で産業振興に取り組んでおり、先見性のある取り組みをしており、当町も見習うべき点が多いと感じた。

2.道の駅への投資は過疎債を使っているとのこと。駅のない当町のような都市部の町と地方の町とで、国の税の配分が不公平ではないかとつくづく感じてしまう。県、国に是正を求めていきたいものである。

3.道の駅の駅長は経営センスに優れているように感じた。民間で調達と営業のエキスパートの方を第3セクターの長として採用されたとのこと。優れた経営者でも、初期はなかなか黒字にはならなかったとのこと。現在も無配当とのことである。「道の駅いいで」のように優れたところでも、経営的にはなかなか正常な軌道に乗せるのは至難のわざようである。当町でも道の駅を始めるに当たっては慎重の上にも慎重な検討を重ねて投資計画、経営計画を策定し、開始すべきであると感じる。議会としてもきちんと前向きなアイディアを出し、負の遺産とならないように執行部の計画をしっかりと確認していきたい。

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