こんにちは 増田ひとし通信です。
自民クラブで訪問した行政視察の報告です。
1.視察先 行方ファーマーズビレッジ(茨城県行方市)
2.視察日時 2019年2月13日(水 10:30~14:30)
3.視察項目 ・行方ファーマーズビレッジ12次産業化について・廃校利用について ・その他
4.視察目的 人口減少における廃校の有効活用とさつまいも耕作を核とした12次産業化による地域活性化、雇用の確保と人口減少対策の取り組みを学び町政に活かす。
5.視察者 自民クラブ議員 佐藤永子、高橋昭男、松岡高志、田口義博、増田 等
6.説明者 (㈱)なめがたしろはとファーム シニアマネージャー 木下哲郎氏
7.内 容
① 行方市現況
茨城県南東部に位置し、東は北浦、西は霞ヶ浦に囲まれ、東西の湖岸部分は低地、内陸部は標高30mの行方台地と呼ばれる広陵大地により形成されている。人口33,180人(平成31年1月1日現在)で第一次産業を主体にしている。肥沃な大地と豊かな自然に囲まれ、日本有数のさつまいもの産地で、東京駅から車で約1時間20分の場所にある。*平均的さつま芋農家の工作規模は約4万平米で売上は約2,800万円とのことである。
② 日本の農業の将来を憂慮、産官でさつま芋を生かした取り組み
若者の農業離れ、高齢化と担い手不足で農業を止める人が年々多くなっており、農業の将来を憂慮し、行方市、JAと民間企業白ハトによる「さつま芋」を生かした取組みを実施した。さつま芋を栽培し、白ハトの宮崎工場へ運び加工していた。白ハトは物流コスト低減を目的に行方に工場を作った。
③ 日本の農業をステキにする試み
~体験型農業テーマパーク構想で地域貢献:農業のディーズニーランド目指す~
日本の農業をステキにしようと共鳴する農業者・企業・行政・消費者が共に作り上げる地方創生を実現するテーマパークにすることを目標に体験型農業テーマパーク「なめがたファーマーズ・ヴィレッジ」を2015年にオープンさせた。総面積10万坪、「さつま芋」で農業のディーズニーランドとすることを目指している。
「なめがたファーマーズ・ヴィレッジ」の建設は大学芋で国内シェア8割を有する白ハト食品工業㈱がさつま芋の加工工場を目指して実現した。工場の誘致には行方市、JAは単なる工場ではなく、地元農業の魅力を知る体験を入れ、地域貢献につながる場にすることにこだわった。その結果、「見る」「食べる」「育てる」体験型テーマパークを構想した。農業生産法人㈱なめがたしろはとファーム(JA, 地元農家300人、白はと食品工業出資3億円)が事業運営を行う中で設立された。
・来場者数:来場者の1/3は視察団
1年目21.5万人 2年目 23万人 3年目 27.5万人 4年目 40万人を目指す
「なめがたファーマーズ・ヴィレッジ」開設目的
人と町をまるごと元気にさせるプロジェクト、6次産業化。生産・加工・販売の要素を全て取り込んだ6次産業化の基盤を成型し、地域の人々と一緒につくる。生産者と加工者、販売から消費者をつなげていく、お互いに思いやるような持続可能なプロジェクトを目指す。
つくる:なめがたファーマーズ・ヴィレッジ
白ハトおいも工場での新規雇用機会の創出、白ハト社員は約50人、地元採用数は約150人の雇用増となっている。企業内に保育園も完備されている。
・ブランディングされた、採れたて野菜 ・工場で加工し、製品化されたものを販売
育 む:地域の人々・地域コミュニティ
・地元の農家と農家以外の地元の人々 ・ブランディングの強化と意義の育成
伝える:利用客・観光客・メディア
・東京スカイツリーサテライト農場 ・らほっほ;おいもファームからより多くの人々に行方を知ってもらう
④ 廃校の小学校跡地を利用~
小学校校舎を芋の栽培や活用の歴史が学べるミュ―ジアムに、調理室を手づくり体験教室に有効活用している。旧校長室には小学校の思い出の残る品々をそのまま残し卒業生が訪れ、昔を懐かしむことができるようにしている。結果、子供さんたちやお孫さんたちを連れて見学し、食事も楽しめるようにして集客力を高める工夫をしている。
敷地内にはさつま芋の加工工場(大学芋、干し芋など)が併設され、また高級感がありおしゃれなショップやレストランも校舎とは別に新たに設置されている。
商業棟1階のファーマーズマーケットには白ハトの人気商品や、地元野菜コーナーでは農産物が直売されている。2階には旬の野菜中心のバイキングが楽しめるレストラン、ベーカリー、カフェ、セミナールーム、やきいもミュージアム(小学校校舎利用)、屋上にはBBQ施設も設置されて、華やかさを演出している。売れ残った野菜も無駄にせず、レストランで活用しているとのこと。
さつま芋の加工工場「行方おいもファクトリ-」は加工状況が見学できるコースも整備されている。総投資額 50億円、見学は有料 見学料800円/人, 説明員同伴はさらに500円/人
*築43年の校舎、敷地含め行方市議会承認後1,600万円で払い下げ
⑤ 耕作放棄地の有効利用
耕作放棄地を借り上げ「ロイヤルファーム オーナーズクラブ」でオーナー農園として貸し出している。自分の手で育てて食べる。贅沢で豊かな会員専用のオーナー畑。有名、著名人、スポーツ選手の畑もある。気軽に散策もできる。
料金設定は17㎡ 10万円/年、 33㎡ 20万円/年、 67㎡ 40万円/年
ふるさと納税返戻の貸農園としても活用:オーナー社長が社員の福利厚生として用い、社員を連れて来て、農業体験、収穫物を取りに来てもらう。また、バーベキューを楽しんでもらったりしている。
ふるさと納税 200万円/年から1.8億/年に上昇している。
⑥ 12次産業化を目指す
「なめがたファーマーズ・ヴィレッジ」で6次産業を具現化
素材を育む農業(1次産業)×商品を作る製造(2次産業)×販売(3次産業)
*大学芋はコンビニエンスストアーとの提携1店舗あたり1日平均1.3パック販売、2万店舗で一日あたりの売上は26,000パックとなる。
*「おいも株オーナー制度」で会員数1万人リピーターの確保を狙っている。
会費 3,300円/年・人(4月前までは事前割引で3,100円/年・人 芋1.4kg保証
5月に苗植え(別料金)、10月収穫 持ち狩り、または2月預かりで甘みを増させて宅配便で発送。他に小運動会などのイベント有り。
+観光 農業体験観光施設。農業をテーマに観光地を目指す。首都圏から集客。家族ずれで1日楽しめる。
+教育 食育、有休公共施設リノベーション、地元の子供たちの学習拠点、ザリガニつりの施設
+IT農業 ITを駆使した農業振興、農作業検定試験場、農家向け相談所
+地域貢献 ありがとう暖かい職場、温かい街づくり
+子育て 人口増加少子化対策、Uターン促進、移住推進
+交流 地元祭イベント、地元企業、賛同企業との連携交流、農業関係者の交流
8.視察研修感想まとめ
特産のさつま芋を地元産業の核の一つとして位置づけ多方面への波及効果を狙った取り組みで大変参考になった。さつま芋栽培の1次産業から2次、3次へと6次産業化を実現した好例と言える。さらに12次産業化を目指している。
① 行政、JA、地元農家、民間企業を巻き込み農業生産法人を設立し、小学校廃校跡地を有効活用して、加工工場、展示施設、研修施設、調理体験室、レストラン、カフェ、ショップ、BBQも備え華やかさを演出している。体験型農業テーマパーク構想で地域貢献する農業のディーズニーランドを目指しているところは斬新である。
② 地元雇用増によるUターンの推進、耕作放棄地をオーナー農園化して有効活用、6次産業から
12次産業化を目指すなど取り組みは意欲的である。
③ 民間の発想と活力を使い戦略的なブランドづくりを意図し、高付加価値の商品開発とサービスを生み出している。
④ 行政に大きな財政的負担を求ないところは松伏町も大いに参考とすべきである。
以上
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