こんにちは 増田ひとし通信です。道の駅として高い評価を受け、数々の賞を受賞している群馬県川場村にある道の駅「川場田園プラザ」を所属する自民クラブ議員と2017年(平成29年)11月10日に行政視察した。この時のリポートを掲載する。
【視察概要】 ~農業と観光を融合させた「道の駅」に年間180万人来場~
川場村の人口は平成29年10月1日現在で3,522人。平成2年の川場村過疎計画、翌3年川場村総合計画の中で「田園プラザの開発」と世田谷区との事業協力を位置づけ、田園プラザ推進委員会・幹事会で構想が策定された。平成5年に第3セクターの(株)田園プラザ川場を発足させ、6代の村長が方針をぶらせることなく設立当初の不振を克服し、数々の一貫した事業展開を行い現在に至っている。
平成28年の来場者は180万人を超え、今尚伸び続けている。事業目的を「農業+観光」の集大成と位置づけ、地場産品の振興、新規開発、商業・情報・ふれあいの核の形成の場として機能させることとしている。村の研修施設や防災拠点をうまく隣接させ、バスターミナル機能も持たせて、多機能を集約配置して事業の質を高めている。これにより若者を中心とした就業機会を増やして定住、UIターンの促進、地場産品の開発、オンラインショッピングの促進、農産物の6次産業化での農地の遊休化を防ぎ、村内消費の拡大も図っている。
平成27年に観光庁長官賞を受賞、他数々の賞を受賞している。世田谷区との縁組協定以来、述べ170万人を超える区民が訪れ、都市と農村の交流モデルとして高く評価されている。地域独自の資源である農業と観光の持つ「人を惹きつける力」を融合させた観光ツーリズムの考えを実践させた好例である。
人口減少に直面し、今後「道の駅」と「バスターミナル」の一体整備を目指しており、首都近郊で自然豊かな松伏町にとっても、地場産業である農業の振興とアクティブシニアの活用など、行政と住民の協働事業の好例として参考としていきたい。
【視察詳報】
視察目的
川場村では、道の駅 川場田園プラザの概要について視察する。従来、農業を主体とした人口約3500人規模の村に農業と観光という新たな産業育成の観点から村をあげて取り組んだ観光事業開発を良き成功事例として学び、本町で予定している「道の駅」と「バスターミナル」に役立てる。
1. 群馬県川場村 道の駅「川場田園プラザ」
1)道の駅 川場田園プラザの概要
① 道の駅「川場田園プラザ」は群馬県北部に位置する武尊山(ほたかさん)の雄大な自然に囲まれた川場村の全国でも人気の観光拠点。2015年に観光庁長官表彰など数々の賞を受賞している。
② 川場産の野菜などを販売する「ファーマーズマーケット」、「ミート工房」、地元産牛乳を使った「飲むヨーグルト」、「地ビール」、地元産米粉を使用した「ベーカリー」など食品加工・販売所・地場産品を活かした各種レストランが園内に配置されている。地元森林資源を有効活用した木工体験、陶芸体験もでき、「家族で、1日楽しめる道の駅」となっている。
③ 「道の駅」周辺には川遊びが楽しめる「清流公園」、合宿のできる「スポーツエリア」、川場村の文化財や民俗資料を収録・展示している「川場村民俗資料館」、日帰り入浴も楽しめる「ホテル 田園プラザ」の温泉「弘法の湯」、川場の風景が望める吊り橋「ふれあい橋」、「リンゴ園」などがある。すべて近距離なので、徒歩で村内を散策できる。
2)川場村との関係、成り立ち、取り組みについて
①設置のねらい(詳細別紙2参照)は21世紀を展望し、次の点に重点を置き、成熟した村づくりを進
めること。
・コミュニティー活動、縁組協定している世田谷区との交流活動の一層の活発化
・農業を中心とした地場産業おこし
・田園や自然環境に相応した地域住宅づくり
・村の核づくり
②基本構想の構築・目的
川場村の基本路線は、「農業+観光」の集大成と位置づけ、地場産品の振興及び新規開発を
担うとともに、川場村の商業、情報・ふれあいの核である“タウンサイト(中心街区)“の形成の場とし
て機能させることを事業目的としている。田園プラザ事業は、①で示した重点事業の中核的な事
業で、タウンサイトの形成を目指している。 持つべき機能は以下の通り。
・若者を中心とした就業機会をふやし、定住、UIターンを推進
・地場産品の開発、PRをすすめ、その流通を促進
・村民相互、村民と村来者の交流・交歓、情報交換の場とする
・村来者の飲食、ショッピングのニーズに答え、村内消費の拡大を図る
・シャトルバスの起終点など、村内交通のターミナル機能を持つ
④ 設置までの体制・経緯 (縁組協定を含む)
川場村にとって長い年月をかけて進めてきた、活力ある村づくり事業を締めくくるものと位置づけ、行政と村民が一丸となって取り組むものとしている。
・昭和56年(1981年) 人口約90万人の東京都世田谷区と第二ふるさとづくりを目指して「縁組協定」を締結
・平成元年-2年 川場村の多機能の田園プラザの開発と、世田谷区との事業協力の必要が提案される。⇒川場村過疎計画(平成2年)、川場村総合計画(平成3年)に位置づけられ、「田園プラザ推進委員会・幹事会」で構想策定
・平成5年 (株)田園プラザ川場 発足
・平成8年 道の駅 登録
⑤ 投資額 総投資額 約31億円 (土地6万㎡は村から賃借)
・現在は(株)田園プラザ川場が会社として必要な投資を行っている。
・村が補助金を活用して追加投資をした防災施設、研修センターなどを隣接させて園施設と一体
化させ、総合的に有効活用できるように機能の拡充を図っている。
3)地域活動への貢献と成果
①若者が希望の持てる職場のない村に、130人の就労の場を確保。
②地場産品の消費促進。
・田園プラザ施設内入場者 平成28年度 180万人に達しており、現在も伸び続けている。結果
として村内消費も拡大。
・村内農家等が消費に喚起されて新しい加工品の製造や、農産物の新品種に取り組む動きもみ
られ、今後の更なる発展が見込まれる。
・交通のターミナル機能を有するようになった。
・6次化産業取り組みの成果としての新たな特産品と販売促進。
・農地遊休化を防止。ファーマーズマーケットの平成27年の売り上げは5.5億円で、現在、農産
物提供者は400名を超えて川場村農家の半数となる。
・第一戦を退いた高齢者、婦人の趣味と実益を兼ねた生きがい対策。
・村来者と村民の交流の場となっている。
③ 世田谷区と縁組協定以来、延べ170万人を超える区民が来村している。都市と農村の交流
モデルとして高く評価されている。
4)その他の情報
・経営は第3セクターの「株式会社 田園プラザ川場」 資本金 9千万円
出資者 川場村60%、世田谷区20%、他民間企業、JAなど9団体20%
-スタート時の来場者数は年間10万人で当初5年程は赤字が続いた。
-行き止まりの地区であり閉鎖的な村で人を迎える感覚なかった
- 民間企業から社長を招聘し、あらゆるもの見直した。村が口出ししないことが条件。
-ごみを拾わない、またぐ状態だった社員一人一人と個人面談し、お客様第一主義を徹底。
顧客満足度を上げる努力をし続けている。
-顧客のアンケート調査に基づき、3ヶ月ごとに「戦略会議」を実施。改善点を具体化し、実行
に移している。 (例)川場産かぐらからし、パブリカや観賞用ミニカボチャの栽培、野菜の
アイテム数増加を農家に実行してもらうことで、客に喜んで頂くことを実践している。
農産物売り上げ増 1000万円以上 1人、500万円以上 8~9人
耕作放棄地がなくなって、地域に貢献している。店頭品が品薄になると農家に携帯でメール
配信され、すぐ供給して空棚をなくしている
・平成28年の来場者 180万人、70%は首都圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)からの来場者。
また、70%はリピーター(年3回 県が観光調査実施)。交通量は日に1500台 最終目的地
として作って進歩させている。
・一番人気は農産物特売所で、ファーマーズマーケットの売り上げは平成28年には6億に達して
いる。JAは直接入っていない。
・ピザ、レストラン、ミート工場は社長が自らドイツで修行してきた。
・駐車場は緊急ヘリポートとしても活用。
・6代の村長が方針をブレさせないで、20年から30年の時間の中で強い信念と努力で築き上げて
きている。
・観光協会は田園プラザ内にある。町から業務委託。主な業務はPR
・世田谷区が出資している会社が2店舗直営している。
・1981年世田谷区の第二ふるさとづくり時は52の市町村の応募があった。川場村は何もないが、
美しい畑、田んぼ、山と水があるとPRして採用に至った。山村留学体験、林間学校などを実施。
5)事業の今後の課題について
①体験型、村内散策を充実。②夜のイベント ③民泊 ④顧客満足度向上
6)まとめ
①過疎と人口減少という課題克服のため、川場村にある地域独自の資源である農業と観光の持つ
「人を惹きつける力」を融合させた環境ツーリズムの考えを実践させた良い事業例と考えられる。
②川場村の道の駅は、本来目指したものではなく、存亡の危機を救うために「農業+観光」を推進し
ていく中核となる事業をめざしたら、結果の一つとして道の駅の認定基準に合致し、認定を勧めら
れたので申請して得たものであるとの説明があった。したがって、道の駅は結果であって、村とし
て初めから目標としたものではないことが分かる。
川場村の基本路線は環境ツーリズムの考えに基づき「農業+観光」の集大成として、地場産品
の振興及び新規開発を担うとともに、川場村の商業、情報・ふれあいの核である“タウンサイト(中
心街区)の形成の場として「田園プラザ」を機能させることである。
若者を中心とした就業機会をふやして定住、UIターンを推進させて人口減少を食い止めようと
し、地場産品を開発、オンラインショッピングなどの流通を促進させて、農産物の6次産業化で新
規事業の創出をも図り売上向上を目指している。村来者の飲食、ショッピングのニーズに答えて
村内消費の拡大を図っている。また、防災拠点、研修センターの機能も隣接させてり、さらには
シャトルバスの起終点など、村内交通のターミナル機能をも持たせている。
つまり、農業+観光によって村内経済のパイを拡大させ、雇用を創出して人口減少に歯止めを
かけ、またアクティブシニアの活用でやりがいと健康寿命の増進、第3セクターからの利益のリター
ンと税収増も狙った総合的な事業である。あわせて、交通の利便性や防災拠点の向上も同時に
図ろうとする事業でもある。農業+観光により村を活性化させる総合事業である。
③ 人口約3500人の村であっても、明確な構想と一貫したリーダーシップの下で、行政と村民の協
働があれば地方は活性化出来得ることを学んだ。
④ 今後、道の駅とバスターミナルの一体整備を目指している自然豊かな松伏町にとっても、大いに
参考とするべき成功事例である。
以上
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